顕微鏡の構成要素

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対物レンズ

 試料の側にあるレンズで、これがないと拡大して観察することはできません。レーウェンフックの顕微鏡は対物レンズだけでした。初期の対物レンズは、 1枚だけでしたが、近年のレンズは、組み合わせレンズで、歪みの原因である収差を取り除いてあります。また、油浸レンズと呼ばれるレンズは、ガラスと同じ屈折率を持つ油をレンズと試料の間に満たして、空気とレンズの屈折の影響を排除する工夫がなされています。
 収差の原因は、光が屈折すること自体やレンズの形状そのもにあります。
 色収差:プリズムを思い出してください。ニュートンが太陽光(白色光)をプリズムに通して、光が虹色に分かれるのを発見しています。白色光はガラスを通るときに、その波長(色)によって、屈折する角度が違い、通る経路が違ってしまいます。レンズを通すと色がにじんでしまいます。
 球面収差:最近までレンズの表面は球面でした。しかし球面では、周辺に入った平行光と、中心付近に入った平行光は同じ、同じ1点には焦点を結びません。1点に焦点を結ぶようにすると、レンズの曲面は球面でなくなります。最近では、球面以外のレンズ(非球面レンズ)が設計できるようになり、CD やDVDのピックアップや眼鏡のレンズに応用されています。
 収差は数枚のレンズを組み合わせて、小さくなるように設計されています。
 電子顕微鏡では、電子を絞る電磁石が対物レンズになります。走査型プローブ隠微鏡には、レンズは使われません。

 

接眼レンズ

 眼に近い方のレンズです。光学顕微鏡では、双眼になっているのでバイノキュラー、アイピースなどと呼ばれています。対物レンズに記されている倍率と接岸レンズの倍率を掛け合わせると顕微鏡の倍率が決まります。
 最近では、CCDカメラを搭載するのも増えています。また、レーザー走査顕微鏡はなどは、CCDなどの検出器を通して画像を観察することになりますが、この場合は、検出器の前にあるレンズが接眼レンズとなります。
 共焦点顕微鏡では接眼レンズの前に絞りを置いて、像がぼける原因となる周辺の光を排除しています。このままでは、1点しか見ることができないので、走査が必要になります。
 透過型電子顕微鏡では、数段の電子レンズがあり、また、蛍光面に写った像を、別の拡大鏡で観察することもあります。走査型電子顕微鏡では、検出した電子で焦点をむすぶことは行われません。

 

照明

 光学顕微鏡では、照明は重要な役割を果たしています。
 もっとも一般的なのが明視野照明です。照明の光を対物レンズぎりぎりいっぱいに入るようにした照明で、余分な乱反射が少なくなります。透過では、試料の光の吸収率、反射では反射率によって、コントラストがつきます。
 暗視野照明は、明視野とは逆に照明が対物レンズの周辺ぎりぎりだけの照明で、試料によって屈折、乱反射した光だけが対物レンズに入るようした照明方法です。
 蛍光顕微鏡では、試料を特殊な染料で染め、蛍光を発生するようにします。蛍光は一定の波長の光(励起光)で照明することにより発します。その蛍光は励起光とは別の波長の光なので、フィルタで蛍光を励起光と分離することで、暗い視野の中に蛍光だけを観察することができます。
 このほか、偏光、位相差など照明法もある。

 

試料

 試料がないと、何も見られませんが、ただ、接眼レンズの前に置けばよいとは限りません。
 上記なかでは、油浸レンズを使う場合は、油(エマルジョンオイル)の効果を発揮するため、プレパラートとして作成された試料でなければなりません。また、蛍光観察では蛍光物質をあらかじめ、含んでいない限り、蛍光染料で染める必要があります。コントラストをつけるために、染料で染めることもあります。
 透過電子顕微鏡では、均一に電子を通すよう、精度よく非常に薄く試料をスライスする必要があり、専用の装置まであります。走査型電子顕微鏡では、電子線をあてた試料に電荷がたまらないように、金属でコーティングする必要があります。